大判例

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徳島地方裁判所 昭和26年(行)1号 判決

原告 八幡神社

原告従参加人 工藤健太郎

被告 西麻植財産区

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用中原告と被告間に生じた部分は原告、参加により参加人と被告間に生じた部分は参加人両名の負担とする。

二、事  実

原告代表者は被告は原告に対し別紙目録記載の不動産を無償で譲渡する義務のあることを確認する、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求めその請求原因として、原告神社の前身(便宜上第一の神社と称す)は古くより西麻植の氏神として鎮座し明治になつてから村社となり昭和二十一年勅令第七十号施行の際宗教法人令附則その二第二項の地方長官の保管に係る神社明細帳に記載せられた神社で同附則第三項によりその当時の宮司及氏子総代で神社(便宜上第二神社と称す)規則を作り地方長官に所定の届出を為し、その後原告神社は宗教法人法附則第五項により神社規則を作成し、所定期間内に徳島県知事より同法に基く規則の認証を受け昭和二十七年八月二十六日徳島地方法務局川島支局に於て登記を了し前神社の権利義務一切を承継したもの、被告は別紙目録記載の不動産を所有する地方自治法第一条第三項の財産区であるが、別紙物件中<イ>檀の原百五十四番山林、同百六十三番山林、<ロ>同四十八番原野同百四十九番山林、同百五十五番村社地、同百五十五番の二村社地は古くより第一神社の境内地として宗教活動の為め無償で使用していたもので<イ>の土地は明治四年太政官布告上地令により上地したが間もなく陳情請願して請返し境内地のまゝ被告名義になし居るもの<ロ>の土地は明治七年行われた地租改正により被告の所有名義になし居るもの、<ハ>同百五十番山林、同百五十一番の二山林、同百五十三番の二山林は明治二十四年、同四十七番の二原野は大正六年、夫々私人から行事場である馬場を延長する為め第一神社へ寄附されたが被告名義になし居り、且、右百五十五番村社地、同第百五十五番の二村社地は神社の本殿、拝殿、社務所その他神社に必要な建物又は工作物の敷地に供されている土地、同第四十七番の二原野、同第四十八番原野、同第百五十番山林、同第百五十一番の二山林、同第百五十三番の二山林は宗教上の儀式又は行事を行うため必要な土地、同第百五十四番山林、同第百六十三番山林は神社の尊厳を保持するため必要な土地、同第百四十九番山林は摂社の所在する所謂歴史又は古記等によつて神社に特別の由緒あり何れも昭和二十二年法律第五十三号第一条同年勅令第百九十号第一条に掲記する特別な条件を備えた土地で、右法律及勅令は憲法第八十九条の趣旨により当然地方公共団体所有地にも準用さるべきものであるから、被告財産区は右法律に基きその当時の神社即ち第二神社より譲与申請があつたときは右各土地を該神社に対し同法施行の同年五月二日の現状で無償で譲与しなければならないもので第二神社は同法第一条により同年十月及翌十一月の二回に亘りその当時の被告管理者へ口頭で右財産の譲与の申請を為したる処、同二十三年三月十一日被告区会議に於て前記土地に対する神社の沿革的既得権を認め右譲与申請を相当と認め無償で全部譲与することに可決決定した、従つて被告は右決定に基き直に譲与処分を為すべきであるのに、これが決定を無視して譲与処分を荏苒放任するのみならず、同二十五年十一月十八日第二神社に対し本件土地の立木を第三者へ売却すべき旨の通知を為し来つたのでこれにより第二神社は右譲与申請を不許可処分にしたものと解し同日より二ケ月以内の同年十二月三十一日訴願法に基き右管理者に対し訴願手続をとつたが、管理者は訴願の裁決を為さぬのみか、被告は本件土地の譲与の意思無しと言明し、その立木を伐採しようとするので、この儘経過すれば償うことの出来ない損害を蒙ることとなるので行政事件訴訟特例法第二条但書により本件訴訟に及んだと陳述した(立証省略)。

従参加人は何れも原告神社の責任役員で本件訴訟の結果に利害関係を有するので原告神社を補助する為め、訴訟に参加する、原告の主張並に立証を援用すると述べた。

被告代表者は原告の請求棄却の判決を求め、答弁として原告の主張事実は否認すると述べた。

三、理  由

按ずるに、原告は地方公共団体所有に属する財産についても、該財産が昭和二十二年法律第五十三号第一条及同年勅令第百九十号第一条に掲記する神社の所謂特別財産に該当する限り憲法第八十九条の趣旨により右法律及び勅令が当然準用され、該財産を使用する神社の譲与申請により地方公共団体は該物件を神社に対し行政処分として譲与しなければならないとの主張を前提とするものであるが、前記法律及勅令は明かに名文を以て国有財産のみを対象として規律しているから、地方公共団体所有の財産についてはこれ等法令は適用無く、又憲法第八十九条の趣旨によるも当然準用さるべきものとは解し難いので、これが適用或は準用あることを前提とする原告の本訴請求は爾余の判断を俟つ迄も無く失当であるからこれを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十四条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 今谷健一 小川豪 永石泰子)

(別紙目録省略)

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